100のお題のプロローグ・・・side A・・・
100のお題のなかで描かれるアキラの初期設定です
こちらを読んでから100題へ行かれることをお勧めします
いつか愛の言葉をキミに(塔矢アキラの日記より抜粋)
今日はお父さんの碁会所で進藤と打った。
じっくり検討もしたかったのに、中盤の攻め合いの手数のことで言い合いになり、進藤は帰ってしまった。
はあぁ。
いつもこうだ。
進藤と公式戦で初めて戦ったあの秋の日から、ボクたちはもう82回もお父さんの碁会所で盤を囲んでいるのに。
進藤が最後まで怒らずにいてくれたのは、たったの4回だ。
そのうちの2回は、ボクの方が声を荒げてしまい、結局、彼女は帰ってしまったっけ。
……わかってるさ。
進藤がボクと至近距離で語らうことを恥ずかしがっているっていうことくらい。
彼女は照れ屋さんなんだ。
女の子扱いすると、真っ赤になって怒るし。
少しやさしい声色で話しかけると、すぐに視線を逸らしてしまうし。
肩先が触れるくらいに近づくと、さっと逃げてしまうし。
とても純情なんだ、進藤はv
プロ棋士・同僚・ライバル。
ボクの胸のなかで燃え上がる愛の炎を、そんなベールで包み隠し、敢えて友達同士のように接する。
そうすれば、一緒にいてくれるから。
たとえば。
恥ずかしがり屋な進藤は、ボクと碁以外の話をしてくれない。
お昼に食べたラーメンのチャーシューの厚さだとか、なんとかというグループの新曲だとか、新発売の携帯電話の不必要な機能だとか。
そういう話題にはまったく興味がないが、進藤が話すなら十分聞くに値する。
でも。
聞こうとすると、彼女は引いてしまうんだ。
今までの話題をやめて、さっと碁の話に切り替えてしまう。
「おまえがこんな話に興味持つなんて、なんかぶっきみー。あ、もしかしてオレに合わしてくれてる? わりぃわりぃ。え…っと、おまえにもついてこれる話題ってーと…やっぱ碁かな」
鼻のあたまをこすりながら、きしし…と小さく笑う。
ああ。
なんてシャイなんだ、進藤v
そんな愛らしい表情は何度でも見たいけれど、彼女を恥ずかしがらせないために、ボクは自分から話題をすり換える。
「怪獣の鳴き声が公衆の面前で鳴り響いたら迷惑だろう。とくに仕事中は電源を切っておくべきだ。電車の中でメールを打つのも考えものだ。そんな暇があったら頭のなかで棋譜でも並べていたほうがどんなに有意義か。……そういえば、このあいだ父から借りた中国の棋士の棋譜で…」
でも。
いつかボクは言うつもりだ。
友達としてでなく。
棋士としてでなく。
ひとりの男として、この想いを彼女に伝える。
進藤の恥ずかしがり屋さん病が、もう少しおさまった頃に…。
……そうそう。
今日の検討。
進藤は「コスんで手数をのばして、そのあいだにヨセコウを…」って言ってたけど、二手ヨセコウを争ってる場合じゃなかったはずだ。
攻め合いは一手たりないし、コウは二手ヨセだし、その隙にボクの中央の大石は隅と連絡してしまうよ?
その前に、左辺をハネずにノビていれば先手だし、キリもないから攻め合いにもつれ込むこともなく…
……以下略(苦笑)
<コメント>
勘違いアキラさんの空回り日記、いかがでしたか?
ヒカル激ラブのくせに厳しい口調で話してしまう、当サイトのアキラさんの原点とでも言いましょうか。ヘタレ純情一路なアキラさんは、お嫌いですか?

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