囲碁とシナプスと楽器


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 ちょいと前に流行した歌謡曲を意識して、タイトルをつけてみた。

 今回のテーマは、「我が人生において、歯磨き級の重要度を示すもの」だ。
 歯磨きをしなくても死ぬことはないが、しないでいると、いろいろ不都合が生じる。
 それが、「歯磨き級」という格付けだ。

 がびの四半世紀(自称)にわたる人生において、そこそこ重要なポジションを占めているのが、「囲碁とシナプスと楽器」というわけだ。

 囲碁については、今さら言うまでもないので触れない。
 シナプスは、がびのライフワークとも言える研究テーマだが、かなりマニアッキーなので、ここでは割愛する。

 そんなわけで、楽器についてだけ述べたいと思う。



 がびは、中国内陸部出身だ。
 省都近くの市街地に住んでいた。
 そこそこ栄えた土地柄だったが、大都会とは違って、いろんなものが田舎くさかった。

 結婚式といえば、時刻は夜。
 白でなく赤い花嫁衣裳なのは当然。
 新郎が、タキシードの上に赤いタスキをかけて、おなかに大きな赤い花をつけるなんていう珍妙さもザラ。

 人間関係も不思議だ。
 両親が健在なのに、養父や養母が存在する。
 カタギなのに、義兄弟や義姉妹が存在することもあるし。

 意外なところでは。
 学校の勉強で一番大事なのは、一芸に秀でることだった。

 こどもは国の宝でもなんでもなく、そこいらへんに、うじゃうじゃいた。
 古来の伝統芸術に、再び光が差し始めた頃のことだ。
 十把一絡げにされないためには、楽器演奏に秀でることが近道だった。

 その結果、小学校高学年の児童による鼓笛隊が、各学校で編成されたというわけだ。
 我々、当時の児童にしてみれば、鼓笛隊選抜の特別クラスに入れば、授業が少なくなるというエサにつられてのことだったが。

 鼓笛隊と呼んでみたが、実は古楽器のアンサンブルのことだ。
 がびが担当したのは二胡。

 二胡を選んだ理由は、「一番たくさん人数が必要なパートなら、合格する可能性が高いんじゃないか」と、考えたからに他ならない。

 囲碁にかまけて、ちっとも練習しなかったくせに、授業をサボることを目的に、選抜試験に臨んだ。
 結果は惨敗。
 あたりまえだ。



 そして、小学校卒業。
 文革も終わりを告げ、戦時中に追われた上海へ戻ることもできたが、両親の無茶な希望で香港へ。
 中国から、いきなり香港へ渡ることはできないので、他の国に一時住民票を移して、改めて香港へ移民したわけだが。

 ここにも、やっぱり鼓笛隊は存在した。
 当然、勉強なんかしたくないから、選抜クラス入りを希望。

 ところが、香港の鼓笛隊は、西洋式だった。
 吹奏楽団なのだ。
 マーチングバンドではなかったが、そこは、さすがにイギリス風といったところか。

 吹奏楽に、二胡なんか使わない。
 さて、どうすべえ。

 そこで、がびは一考した。
「一番たくさん人数が必要な(以下略)」

 がび、クラリネットとの出会いである。

 中学・高校と吹奏楽に勤しんだが、やっぱり選抜クラス入りは叶わず。
 あたりまえだのクラッカー。



 高卒後。
 単身来日したばかりで、友達のいないがびを心配して、当時の弟子入り先のカミさんが、クラリネットを買ってくれた。

 地元のアマチュアオーケストラに入って、囲碁以外の時間も持て、ということだった。

 さっそく入団して、週に一度、練習に行くようになった。
 ……これが、プロ試験ダメダメに拍車をかけたような気がしてならないが、まあいい。←いいのか?

 ちなみに、オーケストラでは、調の違う2種類のクラリネットを使うのだが、当時、がびが持っていたのは1本だけ。
 もう1種類のほうを使えば、♯も♭もつかないのに、がびの楽器だと、♯が5個もつく…なんてこともあった。
 おかげで、かなり運指が上達したぜ。



 このアマチュアオーケストラには、今でも在籍している。
 病気で休団した時期もあったが、20年来の友人たちと一緒に、楽しくやっている。
 つい先日も、定期演奏会をやったばかりだ。

 その打ち上げの席で、「萌え楽器」の話題が出た。
 見た目の優雅さで、ハープやフルートの名前が挙がった。
 がびも、ハープには憧れる。
 ああ、うっとり。

 そのうちに、和楽器の話になった。
 沖縄の三線を始めたというトランペット吹きや、三味線と小唄を習っているというチェロ弾きがいて、びっくりした。
 アマチュア愛好家なのに、自分の好きな楽器の他にも手を出してるなんて、なんだか意外だ。
 津軽三味線をやりたいと、激しく主張していたオーボエ吹きもいたな。

 やがて、話題は、楊琴や二胡といった中国の楽器へとシフト。

 二胡っていいよねー。
 哀愁ただよう感じが、たまらないよねー。
 二胡とボヘミア系の曲って、絶対あうよねー。

 みんながそう言ってるのを聞くと、ついその気になってしまうから不思議だ。

 ……また、二胡やってみようかな。
 悪い虫が、騒ぎ始めた。

 実は、我が家には、クズ同然の粗悪品の二胡がある。
 数年前に、ちょいとノスタルジックな気分になって、そこいらへんで買い求めたものを勝手にカスタマイズしたものが、物置部屋の腐海の底に沈んでいる。

 それを引っ張り出してきて、ちょこっと弾いてみた。
 そしたらば。

 ちぇんみんと違うー。
 うぇいうぇいと違うー。
 二胡の音は、こんなんじゃないよー。

 それは腕の差だよ、というのは置いといて。

 いい楽器が欲しくなってしまった。
 そろそろ、1本目のクラリネットが寿命だというのに。
 夏のボーナス(注・すずめの涙)の用途は、これで決まったな。



 家には、他に、木製のアルトリコーダーもある。
 日本人なら、小学校・中学校の在学中に、必ず吹けるようになっている楽器だと言われ、「それならワシも」とばかりに、数年前に買ったものだ。

 プラスチックの安いのもあるんなら、それも教えて欲しかったな。
 とんだ散財だったぜ。





 囲碁以外のタシナミについては、サイトで触れたことがなかったので、書いてみた。
 碁よりは楽器のほうがメジャーな趣味だと思う。

 何か楽器をなさる方がいらっしゃったら、ぜひおたよりをくださいませ。
 がびは、熱い音楽談義は不案内ですが、失敗話やバカ話なら、けっこうネタがありますぜ。


                                    2006年5月18日  がびきゃ拝



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