新・はなげのれんきんじゅちゅしハガレンファンの方と、ハガレンをご存知でない方は要注意!
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冬のある日のこと。 ヒカルちゃんは、アキラくんのおうちに遊びに行くために、お母さんにおでかけの用意をしてもらっていました。 ひとりでも用意できるのですが、まだ上手にボタンをとめることができないので、(←拙作「アキラくんとヒカルちゃん」参照)、お母さんに手伝ってもらいます。 お気に入りの赤いコートを着せてもらい、アキラくんのお母さんが編んでくれた白い毛糸のミトンをつけたところで、ヒカルちゃんは、「あっ!」と、声をあげました。 何かあったのでしょうか。 「お母しゃん、みてみて。ヒカ、「えど」みたいじゃない?」 ヒカルちゃんは、その場でくるくるとまわってみせます。 「えど……? ああ、はなげの錬金術師に出てくる……」 お母さんは、ヒカルちゃんが言おうとしていることをくみ取って答えました。 フードつきの赤いコート。 白い手袋。 髪の毛の色も、前髪だけは「えど」と同じ金色です。 「ヒカ、ほんとは「うぃんりぃ」なんだけどなあ。うーん……「うぃんりぃ」は、あかりちゃんにあげてもいいや」(←拙作「続・はなげのれんきんじゅちゅし」参照) 主人公の少年エドワードと、脇役の少女ウィンリィ。 ヒカルちゃんは、少しだけ悩んだ結果、ウィンリィ役をあかりちゃんに譲ってあげることにしました。 「ねえねえ、お母しゃん。これ、だーれだ?」 ヒカルちゃんは得意気に合掌してみせました。 ヒカルちゃんの影響で多少歪んではいるものの、お母さんも「鋼の錬金術師」について、それなりに理解を深めていたので、それが「えど」の真似だということは、すぐにわかりました。 年齢も性別も顔つきも、まったく違いますから、似ているわけはないのですが。 それでも、ノリに乗っているヒカルちゃんに水を差すのもかわいそうだと思い、お母さんは「……エドワードくんでしょ?」と答えてあげました。 「ほんと? ほんとに「えど」に見える?」 目を輝かせて念を押すヒカルちゃんに、お母さんは「はいはい、見えるわよ」と、おざなりに返事をします。 「それよりも、ほら。マフラーもしないと。お外で遊ぶんでしょう?」 お母さんが白い毛糸のマフラーを持ってヒカルちゃんに近づくと……あらあら、どうしたことでしょう。 ヒカルちゃんは、「いやなのー。いらないのー」と、逃げてしまいました。 「アキラくんのお母さんが編んでくれたマフラーでしょ。アキラくんとおそろいだって言って、喜んでたじゃないの」 お母さんは、ヒカルちゃんを追いかけます。 「だって、「えど」はマフラーなんかしてないもん。ヒカ、「えど」だから、マフラーはいらないのー」 「こら、ヒカル!」 「やーだー」 しぶとく逃げまわるヒカルちゃんに、とうとう、お母さんも諦めました。 「今日は、そんなに寒くないし……マフラーがなくてもいいかしら」 こうして、ヒカルちゃんは、赤いコートに白い手袋といういでたちで、元気よくアキラくんのおうちに向かったのでした。 「……ヒカは「えど」なんだから、自分のこと「オレ」って言わなくちゃ」 「えど」になりきるために、「オレ」「オレ」と連発しているうちに、すぐにアキラくんのおうちに着きました。 「アーキーラーくーん。あーそーびーまーしょー」 門のところでアキラくんを呼ぶと、奥のほうから、「はーあーいー」という声が返ってきました。 カラカラと音をたてて玄関の扉がひらき、アキラくんが出てきました。 「こんにちはアキラくん♪」 「こんにちはヒカルちゃん♪」 「「今日も楽しく遊びましょう〜♪」」 幼稚園で習ったお歌(←拙作「アキラくんとヒカルちゃん」参照)を歌ってから、ヒカルちゃんは、アキラくんに提案しました。 「ねえねえ、アキラくん。今日は、『はなげのれんきんじゅちゅし』ごっこしない?」 「『はなげのれんきんじゅつし』ごっこ……???」 アキラくんは、目をぱちくりさせながら聞き返しました。 残念ながら、アキラくんは、「鋼の錬金術師」についての知識が、かなり不足していました。 ヒカルちゃんの言う「はなげのれんきんじゅちゅし」ごっこというものが、どんな遊びなのか、見当もつきません。 「それって、どんな遊びなの?」 アキラくんは、正直に尋ねました。 「えっとね、「はなげのれんきんじゅちゅし」のまねっこをしゅるんだよ」 ……わかったような、わからないような。 「ほら、アキラくん。みてみて。ヒカ……じゃなくて、オレのかっこ!」 ヒカルちゃんは、両手をあわせてから、しゃがみこんで、地面に手をつきます。 (手を叩いて、カエル飛び……? 新しいおゆうぎかな) アキラくんは、ヒカルちゃんの真似をしてみました。 ところが。 「ちがうのー。もうー、アキラくんも着替えてこなくちゃー」 ヒカルちゃんは、アキラくんの背中を押して、おうちの中に帰そうとするではありませんか。 (着替えるって……いったい、どうしたらいいんだろう) わかがわからないまま、アキラくんはおうちに戻ったのでした。 幸か不幸か、おがたんは、今日もアキラくんのおうちに来ていました。 困った顔で帰ってきたアキラくんに、おがたんは不思議そうな目を向けました。 「アキラくん、どうした? 進藤と遊びに行ったんじゃなかったのか?」 「それが……」 アキラくんは、玄関の前でのやりとりを、おがたんに話しました。 「ふーん。はなげの……か」 おがたんにとって、「はなげのれんきんじゅつし」は、因縁浅からぬ話です(←拙作「続・はなげのれんきんじゅちゅし」参照)。 油性ペンでブチに塗られた悪夢を思い出し、今度は、アキラくんが犠牲にされかかっているのだと気がつきました。 ターゲットが自分でないのならば、こんなにおもしろいことはありません。 おがたんは意地悪そうな笑みを浮かべて、アキラくんに提案しました。 「話はわかった。俺がアキラくんを「はなげのれんきんじゅつし」にしてやろう」 「本当ですか?」 アキラくんは、無邪気にも、その奸計に乗ってしまいました。 「用意するものは……」 おがたんに言われるままに、アキラくんは家中を走りまわって、「はなげのれんきんじゅつし」の衣装になるものを探します。 白い手ぬぐい。 らくだ色の腹巻。 長袖のTシャツとステテコ。 下駄。 「一番重要なアイテムは……油性ペンだ」 おがたんは、もっともらしく厳かに言いました。 「ほんとに、これでいいのかな……」 アキラくんは、少し疑いの目でおがたんを見ながらも、お外で待っているヒカルちゃんのために、おがたんのアドバイスに従って、着替えを始めたのでした。 「お待たせ、ヒカルちゃん」 玄関の扉をあけて、意気揚々とヒカルちゃんの前に現れたのは…………。 「……なにしょれ」 ヒカルちゃんは、つまらなさそうに呟きました。 「なにって……「はなげのれんきんじゅつし」だよ」 アキラくんは、そう答えながら、「あっ、ポーズを取るのを忘れてた」と、言って、あわてて両手を腹巻のなかに突っ込みました。 そして、決め台詞。 「これでいいのだ」 「………………」 「ヒカルちゃん?」 せっかくポーズを取って、台詞もばっちりキメたのに、なにも言ってくれないヒカルちゃんに、アキラくんは、少し不安になりました。 「……ヒカ、おうちに帰る」 オレと言い直すのも忘れて、ヒカルちゃんは向きをかえ、すたすたと歩いていきました。 「ヒカルちゃん……」 ひとり残されて呆然とつぶやいた、油性ペンで描かれた鼻毛が痛々しいアキラくんでした。 強制終了 |
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさいーーーーーっ!
はがれんファンの方、もし見てたら、ほんとにごめんなさい(陳謝)。
女の子のヒカルが「オレ」と言うのは、もしかしてコスプレが原因か!?……という妄想から生まれたお話です。
アキラくんが誰のコスプレをしたのか、おわかりですよね。
うちの夫が、彼と同じ年齢になったとき、あの歌を歌わせてもらったのを思い出しました(酷)。
とにかく、アキラさん、お誕生日おめでとう!←おい
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