キリ番リクエスト・リレー小説
「がびきゃっと、愛の物語 IN 北斗杯」
「転」の章・つんたさまより
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おやっ? あれは確か、日本チームの…。 やっぱり社くんだ。 俺が知っている日本語とは、ずいぶん違う言葉を話す彼と、一度、ゆっくり話がしたいと思ってたんだ。 ちょうどよかった。 「社くん」 びっきーん☆ なんだ? その不自然なリアクションは。 「こんなところで何してるんだ? レセプションは…」 「しーーーーっ! 静かにしてぇな」 だから、なんなんだよ、その必死の形相は。 柱にしがみついて、その先を盗み見ているように見えるが、いったい何があるんだ? 「何を見てるんだ? ……なんだ進藤くんじゃないか」 一緒にいるのは、韓国の高くんだな。 おいおい、こんなところでラブシーンかよ。 「よう、高くん。……進藤くん、どうかしたのか? 具合でも悪いのか?」 俺は声をかけながら、畳敷きの部屋に上がった。 ふふん。 俺は日本語だけでなく、韓国語もオッケーなのさ。 どう見ても、高くんが進藤くんを押し倒しているようにしか見えないのに、白々しいセリフかもしれないが、とにかく、誰が来るかわからないこんなところで、濡れ場を演じてもらっちゃ困るからな。 すでに、社くんという出歯亀も食いついていることだし。 人の恋路を邪魔するワケじゃあないが、まあ、場所柄をわきまえてくれってとこだな。 * * * おっかしいなー。 楊海のヤツ、どこ行っちゃったのかなー。 あいつがいないと、言葉が通じないから困るんだよなー。 せっかくメシ食ってるのに、いろんなヤツに声かけられてさー。 俺は団長であって、選手じゃねーっての。 あ、もしかして。 俺ってば、海外からも注目されちゃってる? やっぱなー。 そりゃそーだよなー。 お、いたいた。 なんだよ、進藤と高永夏もいるじゃん。 ……あれ? 何やってんだ、あいつら。 ははーん、わかった。 腹いっぱいになって寝ちまったおこさま進藤に、ふたりでちょっかい出してやがんな? なんだよ、俺がいないとこで、おもしろそーなことしやがって。 俺もまぜろっての。 そうだ。 俺、油性ペン持ってるんだよな。 ほら、いつ、どこで、サイン頼まれるかわかんないじゃん? 有名人の必須アイテムってヤツよ。わかる? ま、進藤の顔に落書きすんのには、ちょうどよかったかもしれないけどな♪ * * * 嘘やろ…? 高永夏だけやあれへんかった。 楊海さんに倉田さんまで、進藤に惚れとったんか…。 進藤のヤツ、なんで起きひんねや。 3人がかりでいじりたおされて、おまえには、男のプライドっちゅうもんがないのんか? それとも…。 塔矢の言うとったように、ほんまに一服盛られてしもたんやろか? あああああ。 こんなん、塔矢に見られてみい……って、こっちに向こうてくる、あのおかっぱは…。 塔矢!? あかんて。 こっち来んなや。 やめとき。 頼む。 いややああぁぁっ! 「社っ!! 進藤は…」 うわっ。 すんまへん、勘弁してください…って、なんで俺が謝る必要があんねん。 「し、し…進藤っ!?」 俺が頭をかかえて縮こまっとるあいだに、塔矢は、進藤を見つけてしもた。 高永夏の腕に抱きかかえられ、楊海さんに頭をなでられ、倉田さんにほっぺたをいじくられとる進藤を…。 「こ、これは…いったいどういうことです!? ボクの進藤に何をしてるんですかっ!」 ひいいいぃっ! * * * ボクの進藤…ですか。 あいかわらずの独占欲ですね、塔矢。 それならば、どうして、ちゃんとヒカルのそばにいてあげなかったんです? ヒカルは、途中で宴を抜け出して、あなたと部屋でお菓子を食べたがっていたのに。 そわそわしながら、あなたのほうを見ていたではありませんか。 それなのに、あなたは、他の人とばかり話していて…。 早くヒカルを連れて、部屋へお行きなさい。 高永夏とやらも、少々いたずらが過ぎますよ。 そちらの中国の人も、こちらの体格のよすぎる人も…。 ……って、あらら? なぜ、みなさん、こちらを見ているのでしょうか。 もしかして、私の姿が見えているとか? なあんてね。 そんなはず、あるわけないじゃないですか。 きっと気のせいですよね、ふふふ…。 「「「「佐為っ!?」」」」 ……えっ? 本当に見えてるんですか? それに、みなさん、どうして私の名を知っているのでしょう。 いったい、どうなっているんですか????? * * * ほう。 あの漫画にかかれていたことは、やはり本当だったのか。 秀英に「おもしろいから読んでみなよ〜」と勧められて、しかたなく読んでみた、あの漫画。 まさか、俺や秀英までネタにされているとは、思ってもみなかったが。 どこまでが事実で、どこからが作り事なのか、その境界があいまいであるがゆえに、うまく読者を惹きつけることに成功していた。 いや、俺が惹きつけられたとか、そういうことを言っているのではなく…。 ああ、こほん。 まあ、あの漫画のおかげで、進藤と塔矢の関係に合点がいったようなものだから、一読した価値はあっただろう。 それはそうと。 あの幽霊は、2年前に成仏したんじゃなかったのか? * * * この人が、佐為…。 あの漫画に描かれていた通り、優雅な白い狩衣に高烏帽子。 長い黒髪に深く澄んだ瞳をもつ、平安時代の棋士…。 進藤を碁に導き、進藤の前から突然姿を消した幽霊。 ……綺麗だ。 優しそうで、それでいて凛とした雰囲気も併せ持つ、美しい人。 あの漫画が実話であったとすると、進藤は、まさに2年半ものあいだ、この麗人と寝食をともにしていたのか……! いや、「食」はないか。幽霊だし。 でも、お風呂は!? トイレは!? ああ。 なんてことだ…。 進藤のことを1番知っているのは、ずっと彼を追い続けてきたボクだと思っていたのに。 よくも、よくも。 ボクの知らない進藤と、2年半も一緒に…。 片時も離れずに…。 悔しさと羨ましさが、頭のなかで交錯しているけれど、ここは佐為のアドバイスに従おう。 「進藤。起きて。寝るんだったら、ちゃんと部屋に行って寝よう」 高永夏の腕のなかから、進藤を立たせようとするが、高永夏がしっかりと進藤を抱きかかえていて、思うようにひっぱり出すことができない。 「なんだ、塔矢。俺と進藤の熱い夜を邪魔する気か?」 な、なんだと!? 韓国語で売られたケンカは、韓国語で買うべきだろう。 「ボクと進藤の熱い夜を邪魔しているのがどちらか、君には自覚がないようだな」 挑戦的な流し目でボクを睨んだ高永夏に、ボクも冷ややかな目で対峙する。 「おいおい、バトルならよそでやってくれよ。とりあえず、進藤くんは、俺が部屋まで送っていってやるからさ」 楊海さんは、流暢な韓国語でそう言うと、進藤の肩に手をまわした。 なんてことだ。 ここにも、もうひとり敵がいたとは。 「そんなことを言って、楊海さん。まさか、あなたも進藤を…」 「ち、違う! 俺はノンケだ!」 「ほう。母国語でない言語で、そんな隠語を使えるとは…。自分はゲイだと、白状しているようなものじゃないか」 高永夏の言うとおりだ。 ボクは、進藤の肩から、楊海さんの手を振り払った。 「……んん…っ…」 進藤のまぶたが少し震えている。 よかった。 目をさましてくれれば、一緒に部屋へ帰れるぞ。 * * * ……ん? あれ? ここ…どこだろ……? なんで、倉田さんが、オレのほっぺたいじってんだよ。 ……ってか、オレ、永夏に抱っこされてねえ? へんなの。 しかし、すげーメンツだな。 この人は楊海さん…だったっけ? あ、柱のとこに社がいる。 そんでもって、なんで塔矢は怒ってるわけ? ええっと…。 塔矢は、永夏と楊海さんのどっちに対して怒ってるんだ? これは、だいたいヤキモチ系の時の怒り方だから、永夏か楊海さんにヤキモチを焼いてるってことだよな。 永夏と楊海さんがなかよくしてたから、ヤキモチやいたのか? それとも、倉田さんもからんでるとか? あ。 もしかして……オレ? オレが永夏に抱っこされてたから、塔矢のヤツ、怒ってんのか? じゃあ、塔矢が本当に好きなのは………永夏!? うそだろ…。 「違いますよ、ヒカル」 え? 「塔矢は、高永夏とやらにヒカルを盗られるのではないかと、心配していたのですよ」 その声は………さ、佐為!? …… ………… ………………なーんだ、夢かあ…。 そりゃそうだよな。 どうりで、ヘンなメンツだし、永夏に抱っこされてるなんて、おかしいと思った。 そっかあ。 おまえ、また、夢に出てきてくれたんだな…。 オレ、おまえに話すことがたくさんあるんだ。 他のヤツらは、夢から追い出さなくちゃ。 さあ、いっぱい話そうぜ。 …………佐為……。 |
「転」の章・つんたさまからのご提案
*勝手に妄想して勝手に振り回されるアキラに、囲碁幽霊が切れてちょっかいだして何とかなる二人・・・。
*まだまだおじゃま虫はわき出す。
*つぶすのに苦労するアキラを見てヒカルは天然が過ぎて誤解してしまう。
うわあ。佐為が出てきちゃいました。さすが「転」の章。すごい展開!
ヒカルのなかでは、今のところ夢オチということになっていますが、このあと、どうなっちゃうのかしら。
この章、佐為を出したところしか、リクにあてはまってないかも(滝汗)。つんたさま、ごめんなさいっ!
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