イベント参加時の無料配布本を全文使い回し

『U・H・P』 ー日本棋院の七不思議ー

  






  はじめに


 現在から遡ること四年と六カ月(注:2008年6月現在)。

 日本一軟派な囲碁雑誌「GO☆コミュニケーション」創刊第二号の別冊付録は、「こどもに囲碁を教えたいお父さんに捧げる指導法徹底攻略本」だった。

 若い棋士の棋譜を紹介して、こどもたちに碁を身近に感じてもらおうというコンセプトだったらしく、塔矢アキラ(当時十五歳)と進藤ヒカル(当時十六歳)の棋譜が選ばれた。

 そのとき取材を担当した記者K・Y氏の発言がもとで、二人は互いを異性として意識するようになり、やがて、アキラの泣き落としによって交際が始まった。

 ……K・Y氏との浅からぬ因縁も、ここから始まったわけであるが。



 あれから四年と六カ月(←くどいっての)。

 K・Y氏は、空気の読めない記者として、棋界では知らぬ者がいないとまで言われる存在になっていた。

 週刊碁の記者古瀬村氏も、物事を引っかき回すことで有名だが、K・Y氏は、古瀬村氏よりもさらに性質が悪いと、もっぱらの評判だ。

 あるときは、アキラとヒカルが別々の相手と結婚するのではないかという記事を載せようとし、またあるときは、一人暮らしを始めたヒカルの「お部屋拝見」の特集記事を組もうとした。

 いずれも、アキラの鉄拳制裁とともに、事前にお蔵入りになって、ことなきを得てはいるが、油断のできない相手として、二人の共通のブラックリストの筆頭に名が挙げられている。



 さて。

 アキラの鉄拳制裁を受けて以来、しばらく棋院会館に姿を見せていなかったK・Y氏が、ここ最近、頻繁に棋院周辺で目撃されているという。

 いったい何を書くつもりなのだろうかと、棋士たちが遠巻きに見守っているうちに、「GO☆コミュニケーション」の発売日がやってきた。

 誰も、この雑誌に正確な情報など求めてはいないが、興味本位というか、キワモノ好きというか、怖いもの見たさというか……腐っても囲碁雑誌である以上、棋士たちも、まあ、立ち読みくらいはするわけで。

 そして、「またつまらぬものを読んでしまった」と、己を呪うのが常なのだが、今回は、少々勝手が違ったようだ。棋士一同、みな、目を皿のようにして、食い入るように記事に見入ったという。



この物語は、書店や売店でページをめくり、その巻頭記事に度肝を抜かれた若手棋士たちの驚愕体験を綴ったものである。



 2008年6月のイベントで配布した無料本のリサイクルです。

 「メイドでGO!☆ぱーふぇくと」が間に合わなくて、急きょ、無料配布本に変更したっていうウラ事情がありました。

 表紙のスクリーントーンは、テトリスをイメージして切り貼りしたんですが、気づいたひと、何人いたかな?


 2009年1月6日